私の母は、貸し部屋が4部屋ある築40年のアパートをもっていますが、このアパートと母の家は、母の足で歩いて約2時間くらい離れているので、母はめったにこのアパートに行きません。家賃は、振り込みで支払われ、入居者の募集、契約、更新、退去の管理は、不動産屋さんに頼んでいます。
このアパートの1室が、2年前から空き部屋になっていましたが、先日そのアパートの前を通りかかったところ、その部屋に人が住んでいることがわかりました。私は、驚いて不動産屋さんに確認しましたが、不動産屋さんは、その部屋に新たに入居者を入れていないということでした。警察にも連絡したのですが、「警察は、民事事件なので動けない。」と言われました。
こちらとしては、どう対応したらよいでしょうか。
大家さんも契約の管理をしている不動産屋さんも知らないのですから、その部屋に住んでいる人は、大家さんから見れば不法占拠者ということになります。しかし、本当に不法占拠者なのかどうかは、事実関係が明らかにならなければ分かりませんから、警察も簡単には動けません。
もちろん、ホームレスのような人が、入口の扉を破壊して侵入し、そこに住みついているというように、明らかに不法占拠という場合は、警察も対応してくれます。
しかし、普通に住んでいる、つまりちゃんと家財道具があり、生活状況にも不審な点がないということになると、何らかの経緯があって、そこに住んでいることが考えられます。その経緯は、普通は民事上の紛争になりますので、警察は迂闊には介入できないのです。
私が取り扱った事件でも、高齢のおばあさんの世話をしている近所のおばさんが、勝手におばあさんの代理人と称して、おばあさんの所有しているアパートを貸し、賃料を受け取って使っていたという事件がありました。
従って、この場合は、まず、その部屋に住んでいる人に、どういう経緯でその部屋に住むことになったのか、直接話を聞いて確認する必要があります。その人が、普通の人であれば、所有者や所有者の家族、あるいは所有者に依頼された不動産屋さんが来れば、最初は警戒しても、きちんと話をしてくれるはずです。そして、もし、その人に問題がないのであれば、正式に契約書を交わして、そのまま住んでもらえばいいのです。
もちろん、その人に住んでほしくないというのであれば、明け渡し求めることは可能であり、その人が出ていかないときは、裁判をして明け渡してもらうことになります。
これに対して、その部屋に住んでいる人が、何も話してくれず、正体も知れないときは、弁護士等の専門家に相談し、裁判をして出て行ってもらうしか手はないでしょう。
いずれにしても、借りている人が留守の間に、鍵を換えたり家財道具を持ち出したりするなどの実力行使をすることは違法であり、後で損害賠償責任を問われますから、絶対にしてはいけません。